2011年7月24日

旧甲子園ホテル"甲子園会館"

兵庫県西宮市にある『旧甲子園ホテル』(甲子園会館)の見学会へ行ってきました

1930年に甲子園ホテルとして竣工「東の帝国ホテル、西の甲子園ホテル」と並び称され、皇族や大臣をはじめ、文化人や海外の要人が宿泊した超一流ホテル。しかし、太平洋戦争の激化によりホテルとして営業したのはわずか14年。1944年に国に接収され、終戦後、アメリカ進駐軍が将校宿舎として10年使用されたこともあるそうです

当時、阪神電鉄がいまの甲子園球場の周辺に一大リゾート地を建設を目論んでいたそうです。球場、鳴尾競馬場、鳴尾浜海水浴場、動物園など…そして、そこへ一流ホテル建設を計画
1925年に、国道2号線を尼崎から西宮の境にある武庫川にかかる「武庫大橋」や路面電車(阪神国道線)も併設され、川のほとりの小高い丘の見晴らしや、周辺への交通の便の良さがホテル建設の決め手となったそうです
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そして、甲子園ホテルは、1930年に関西屈指のリゾートホテルとして開業。設計は、フランク・ロイド・ライトの愛弟子、遠藤新が手がけた。当時、帝国ホテルのマネージャーで、ホテル界の第一人者といわれた林愛作の理想に基づいて建設。皇族、政財界人、上級軍人などの社交場としてにぎわった

現在は改修を経て武庫川学院の所有、武庫川女子大学の学舎として利用されています。2007年に国の近代化産業遺産、2009年に国の登録有形文化財に登録。リゾート地だった周辺界隈は高級邸宅街にもなっています
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甲子園会館の見学会(事前予約が必要)は、随時開催されています

近代西洋建築でありながら、アジアなテイストを感じさせるファサード
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さっそく中へ、パブリックスペースとなっている中央ロビーからは、爽快に庭園を見下ろすことができます
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建築は「打ち出の小槌」をシンボルモチーフにしたオーナメント(飾り)が随所に見受けられます
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こちらは、一階にある「泉水」

さらに奥へ、西ホール
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かつて、ここで舞踏会や音楽会がおこなわれた。我らが阪神タイガースの「六甲おろし」が、はじめてお披露目された場所でもあるそうです(^^

市松格子光天井
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「打ち出の小槌」
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外へ出ると、夏空の下、褐色(火色)のタイルが映える
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庭園からの眺め
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東西ウィングに、アールデコ文様や幾何学的なデザインの壁面彫刻
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中央「打ち出の小槌」のレリーフ
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日華石とレリーフテラコッタ
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四つ合わせ。浮き彫り状の素焼き。維持管理がかなり難しいようでした

再び中へ、"BAR"
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現在は、オープンなスペースとして利用されていますが、ここは男の社交場として利用されていたようです。床の泰山タイルは、全国からサンプルとして取り寄せ無造作に敷き詰めた、遊び心を感じさせます

二階へ
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応接室のアートグラス。ここは、ドラマの撮影などにも使われたそうです


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見学のご案内は、とても充実したお話ばかりで面白かったです!
また機会があれば行ってみたいと思います~♪


<スライドショー>(大きい画面は⇒こちら)



<位置図>

より大きな地図で 甲子園ホテル見学 を表示

<関連サイト>
武庫川女子大学 甲子園会館(旧甲子園ホテル)

十三のいま昔を歩こう「国道2号線・尼崎を歩く3」2011/01/16

2011年7月19日

『アンドロイドの館』

ずっと先の未来に、もしかしたら"ロボット"が新しいネットワークメディアデバイスになるかも知れない…

自分の話し相手として、いま聴きたい音楽や懐かしい映像を自動的に再生してくれる相手として、将来、その役目を果たす可能性を感じさせるロボット…あくまで個人的な予想ですが、十分な可能性を持っていると感じています

7月13日から16日まで、その人間型知能ロボットの展示(実験)があり、実際に会いに行ってきました

『アンドロイドの館』
構成・演出:齋藤達也 (東京芸術大学・ATR)・石黒浩(ATR・大阪大学)
主催:ATR石黒浩特別研究室
協力:大阪大学石黒浩研究室

なんとも不思議な演出で、築100年の長屋バーに最新系人型ロボット(アンドロイド)が登場!
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-石黒教授とATRによるグローバルCOEプログラム「認知脳理解に基づく未来工学創成」の成果。ロボットは「ジェミノイドF」と名づけられ、女性の形で大きさは座った状態で高さ140センチ、重さ30キロ。歩くことはできないものの、みけんや、目、口、あご、肩など上半身の9カ所を空気圧の力で動かすことができる。表情のほか、首の角度を変えたり、お辞儀もできる。遠隔地にいる操作者が、ロボット自身の表情やロボット正面の状況を画面に写し出すコンピューターに向かって話しかけると、音声と操作者の表情などがインターネット回線経由でロボットに伝わり、同時進行で再現される-
引用:毎日jp『ロボット:実在の女性そっくり 映画「サロゲート」の時代到来も間近?』10/4/3


過去と未来が交錯する空間での不思議体験…


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『アンドロイドは歩いたり、飲み物を運んだりはできない。ただ客から注文をとったり、話しをしているだけ。それでもアンドロイドは機械じゃない。アンドロイドという人になれる。』[1]


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『路地裏にある古い長屋の小さいカフェ。その片隅にアンドロイドが座って客を出迎える。ただ客ととりとめのない話しをしているだけなのだが、それがごく自然で、しばらく時を過ごすと当たり前のような日常にかんじられてくる。』[2]


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『路地裏のカフェにはいろんな人がふらっとやってくる。役者、教師、アーティスト、学生、‥そんな中にアンドロイドがいても、それほど不思議なことでは無い。アンドロイドが街に住み出すとしたら、そんな場所からかもしれない。』[3]


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『アンドロイドはなぜか,古びた長屋のカフェによくなじむ.街や家のあちこちに,懐かしさや人の影を感じる.そういった雰囲気に包まれると,アンドロイドにも人の陰が映し出される』[4]

(※ [1]~[4]の台詞は、Twitterで石黒教授が『アンドロイドの館』について、つぶやかれた一部です)

このカフェへ同じ時間帯に参加されていた方たちとアンドロイドとの会話は、人と話すものと同じように自然なものでした。ただ、
・どのようなカラクリでロボットが動いているのか?(どうしても理屈を求めてしまって…)
・眼は動かないのか(顔の表情が若干乏しい…)
などの意見もありました

子供たちは、ものすごく怖がる子と仲良くなる子にはっきり分かれるようです(^^;

<動画>
カフェでアンドロイドが注文を受けています



これらの実験は、学校などの研究室で作り出された環境ではなく、現実の世界で行われることで、そこで解くべき問題を見つけ出すことも目的のひとつだったようです

『アンドロイド』が実社会で活躍するには、さらに豊かな表情をもつロボットへ改良され、一般の人たちの手に届く価格帯販売が望まれます。それはさておき、とても面白い体験ができました(^^

この実験を経て、今後の発展に期待です~♪

<関連サイト>
大阪大学 大学院基礎工学研究科 システム創成専攻 知能ロボット学研究室(石黒研究室)HP
Twitter - @hiroshiishiguro (石黒浩)
cafe bar ポコペン

<関連記事>
毎日jp『ロボット:実在の女性そっくり 映画「サロゲート」の時代到来も間近?』2010/4/3

<過去記事>
『アンドロイド』(動画) 2010/05/03
『Telenoid(テレノイド)』2010/11/23